衆議院議員会館、万里小路 朝雅事務所。万里小路が資料を用意している。御子左登場。

御子左 おはようさん、今日も俺たちだけか。
万里小路 そうだな。
御子左 世間でも、皇室の存続に関しては話題にならないな。皆関心が無いのか?
万里小路 関心があったら、今どれだけ危機的な状況かわかるだろう。そして、生殺与奪を握っているのが、実は俺たち国会議員であり、国会がそれを決める場なんだが・・・
御子左 それすら知らない。そして、国会議員も皇室なんか関心がない。有権者の関心がないのをいいことに、このまま自然消滅まで持って行こうとしている。
万里小路 民主主義国では、政治家の水準イコール有権者の水準だからな。ところで、選挙の争点については、噂だがこんな話がある。実は与党の中にある宗教団体が深く食い込んでいて、その宗教団体が皇室の消滅を画策しているというものだ。
御子左 その話なら聞いたことがある。だから選挙の時に皇室の維持が争点になると都合が悪いから、マスコミにそういう話題を出さないよう働きかけているというんだろう。それ、率直に言って憲法20条に違反している疑いがあるぞ。どんなに控えめに言ってもかなり危ない橋を渡っていると言わざるを得んな。
万里小路 ある経済学者が「経済の繁栄は七難隠す」と言って与野党問わず支持を集めているが、確かに経済も大事だろう。しかしこと日本に限っては「皇室の繁栄は七難隠す」というのも真だと思うんだが、それが理解されていない。
御子左 何という馬鹿どもの集まりだ、政治家どもは・・・俺が言うのも何だが。
万里小路 その馬鹿どもを選んだのは、俺たちを含めた有権者だ。
御子左 ・・・・それは、つまり皇室の繁栄を願っていないのは、ほかならぬ有権者自身という事になるが?
万里小路 その通り。
御子左 ・・・・・・・
万里小路 口では何だかんだ言っていても、皇室の存続のために動こうという気なんてさらさらないという事だ。皇室の消滅が決まったとしても、あら残念ね、の一言で終わり。
御子左 ・・・・・・・
万里小路 月岡元総理が上皇陛下の退位礼正殿の儀の時に言い放った言葉、「末長い健康を願っていません」は、単なる個人的な心情の吐露ではなく、彼を支持していた有権者の心情を代弁していた、という事だ。
御子左 なんだか、絶望的な気分になるな。
万里小路 民主政治と専制政治の違いは、悪政の責任がどこにあるかだ。専制政治ならば、フランス革命の時のようにその責任を統治者に押し付けられる。だが、民主政治の場合は違う。最後には我々有権者にはね返ってくる。
御子左 では、もし皇室が無くなるとしたら、一体どうなるだろうか・・・
万里小路 各方面に大打撃だろうな、普通に考えて。まず宮内庁とその関連団体・組織の廃止から始まって、皇室に関する様々な組織が消滅、縮小する。
御子左 皇室関連で糊口をしのいでいた人たちも失業か。皇室関連の記事で稼いできた雑誌も廃刊だな、まあ一般人を相手に同じことをやってたら名誉棄損だからいい気味だが。
万里小路 貴槞宮妃殿下が名誉総裁を務めている日本サッカー協会だって、代わりを捜すのも不可能だから名誉総裁職は廃止だろう。
御子左 全国の神社組織も解体、従って伝統的な様々な祭りも終了、だな。
万里小路 皇室は社会的弱者に対しても気を配られているから、その人たちも心の拠り所を失うな。
御子左 国賓の接待は誰がやるか。
万里小路 諸外国の国葬のような行事にも、参加しないというわけにはいかないから代わりを立てなくてはならない。
御子左 首相ということになるか・・・・しかし、今の日本の首相では諸外国に比べて数段見劣りがするな。そもそもこれだけの大役をきちんと務め上げられるものか・・・・
万里小路 さらに、今まで皇室が担ってきた外交がある。日本と他国間で良好な関係を作るというのは見えないところで国防や安全保障の役割も果たしているが、今後はそれを実際の防衛力で果たさなくてはならない。
御子左 その費用は、・・・・おそらく現在の皇室費の数百倍、いや数千倍でも効かないか?よく言われるように、セキュリティ対策の費用を少なく済ませるにはそもそも敵を作らないことがもっとも効果的だからな。昔ある合気道の達人が、「合気道で一番強い技は何ですか」と聞かれたそうだ。その達人は、「俺を殺しに来た奴と友達になることだ」と答えたそうだ。国防や安全保障もそれと同じだ、基本にして究極の理想形と言って良い。
万里小路 財源は当然、増税で捻出するしかあるまいな。最大で数十兆円規模を見積もらなければなるまい。
御子左 しかも、それがこれから毎年か・・・・・・・気が遠くなるな、いや、それでも賄いきれればいい、一体いつまで持つか・・・・
万里小路 人口減少で歳入の減少が避けられない中、歳出の中でも再生産にほとんど寄与しない、いわば究極の最終消費ともいうべき項目は肥大していく。国家財政が破綻する最短コースに乗るという事だな。
御子左 財政破綻となれば、当然国家としての体制は瓦解に向かう。今まで築き上げてきた信用を一気に失う事になる。
万里小路 日本共和国の誕生となれば、ほどなく今の日本は影も形もなくなるだろう。
御子左 だがあえて問うが、結局のところ、国が無くなっても人間が残る、国破れて山河在り、という事じゃないのか。
万里小路 他の国ならそうかもしれないが、日本の場合は事情が違う。
御子左 どういう事だ?
万里小路 現在海外から見た日本人は非常に素晴らしい国民性を持っているとみられている。それは様々な歴史的蓄積があっての事だが、そこで鍵を握っているのが、国民統合の象徴たる皇室の存在だ。普段は皆も意識することはないが、いざという時の精神的支柱になって来たのは歴史が示す通りだ。そのような精神的支柱が無くなれば、今の主体性がない日本人は安易に諸外国に染まることが予想される。そうして悪貨が良貨を駆逐し、朱に交わって赤くなるとどうなるか。・・・・それはもはや様々な美徳を備えた「日本人」ではなく、単なる烏合の衆と化した国民だ。「千丈の堤も螻蟻の穴を持って潰ゆ」というだろう。これが起点となって、今ある日本人の特質は消え失せ、革命も起これば独裁者も出現する普通の国になるだろう。皇室がなくなるという事は、そのような貴重な歴史的蓄積ごと失われてしまうことを意味する。
御子左 よく言われることだが、壊すのは簡単だが、創るのは非常に難しい。特に元のかたちを復元するのはほとんどの場合不可能。そういう事だな。
万里小路 影響は国内だけに止まらない。日本が潰れれば、海外と取引している多くの日本企業も無事では済まない。潰れるところも当然、出てくるだろう。今更言うまでもないが、特に日本の中小企業の中には唯一無二の技術を持って、海外の大企業と直接取引しているところが少なくない。そういうところが潰れたら、代替品を入手できない企業は品物が作れなくなる。世界のサプライチェーンに大きな穴が開く。
御子左 代替財がないというのは深刻な問題だな。最近某国が非核の方向に舵を切ったのは、核弾頭に使う充填剤を作っていた会社が潰れてしまって、代替品もないという事態に追い込まれたという話もある。
万里小路 とにかく、根本的に国のかたちが変わってしまう。・・・それも、おそらく悪い方向に。


御子左 まあ、そんなことを言っていてもしようがない。俺たちは俺たちのできることをやろうぜ。
万里小路 この前は皇室の歴史的側面から勉強したが、今日はその続きから初めてそれ以外の側面もみてみよう。
 万里小路、『逆説の日本史 第3巻』の80頁を開く。

(narration) 一方、皇帝とは、(中略)秦の始皇帝が初めて作った称号で、中国全土の支配者を指す。そして天皇との一番の違いは、その地位を保証するのは血統ではなくて「徳」だということだ(中略)。皇帝は外国人だろうが何だろうが、「徳」さえあればなれる。そして、「徳」などというものは客観的に測定不可能なものであるから、とどのつまりは「徳」があると「自称する」人間なら、誰でもなれるのである。

万里小路 徳は、皇位継承の条件ではなく在位の条件と言えるかもしれないな、測定不能なことをあえて目をつぶって言えば。
御子左 実際、姓を持たないというのは皇室を特徴づける最も基本的で、かつ重要な性質だろう。王朝の交代を実現させないという意味で。
万里小路 だろうな。もし中華帝国のように姓を持つ君主であったら、神功皇后、天武天皇、持統天皇、光仁天皇と、最低でも4回は王朝の交代が起こっていただろうからな。
御子左 男系論者の中には、民間の女性が皇室に入ること自体許せない奴もいるらしいな。王朝の交代が実現してしまうからだと言って。
万里小路 馬鹿だなあ。皇太后陛下が上皇陛下と結婚なさった時、生田王朝が始まったのか?今上陛下の時はどうか、仔肌王朝ができたとでもいうのか?
御子左 日本の皇室の特徴としてはもう一つ、中華の徳の思想を完全には受け入れなかったことだな。
万里小路 もちろんそれもある。君主たる条件として徳を入れてしまうと、易姓革命を肯定することになる。この点、血統のみを条件とすれば間違いがない。
御子左 ・・・・だが、現代はまさにその血統のみという条件によって皇室の命脈が尽きようとしている。皮肉なものだ。
万里小路 思えば、昭和天皇は我々に対して重い問いかけを残したものだ。「お前ら、今後とも皇室と共に生きていく覚悟があるのか?」ということだろう、分かりやすく言えば。
御子左 それにしても、・・・血統な・・・・・・・実際、本当に血統がつながっているという証明はできないんだがなあ・・・・むしろ、それを否定する傍証ばかりが出てくる。
万里小路 『古事記』にしても『日本書紀』にしても、神の世と人の世を繋げるため、万世一系という虚構を作り出すために相当な無理をしていることは容易にわかる。中華帝国向けに儒教思想を大きく取り込んだ書き方にせざるを得なかった『日本書紀』の方は特にな。
御子左 『日本書紀』と言えば、例の煬帝を怒らせた文面を消してあるのも、唐を刺激しないための配慮だろう。
万里小路 隋の時とは状況が違ったからな。唐を本気で怒らせたら倭に攻め込んでくることは十分考えられた。
御子左 いろいろ細工を施しているわけだ。
万里小路 とにかく、今確実に言えることは、実際はともかく形式上は古代から天皇の系譜が途絶えることなく続いている、という1点だけだ。それを担保しているのが、姓を持たないという1点だ。
御子左 形式か・・・・どうも形式上とか、形式的という言葉には空虚な響きがあるな。意味があるのか、それ?
万里小路 意味はあるさ、特に日本ではな。なぜなら、まさにその形式で現実が動かされたことがあるからだ。一番わかりやすいのは明治維新だな。実質的には無意味と思われていた「天皇によって任命された幕府、または征夷大将軍」という形式が生きた瞬間だ。




 万里小路、別の本を開く。
万里小路 それから、今我々が使っている無意識の共通認識で、中華由来、特に律令と儒教由来のものは意外に多いことも見逃せない。
御子左 父権制に象徴される男尊女卑の思想はもちろんのこと、長子相続というのもそうだし、一つの強力な政体による中央集権国家という概念もそうだな。さらにある学者によると、実名を呼ぶことを避けるというのもそうらしい。俺はこの説については疑問だが。
万里小路 考えようによっては、我々は千五百年もの間、中華由来の因習に囚われているということができるな。
御子左 中華以外の大陸国家もそうだが、日本はむしろ複数の国による連邦国家のような形態をとっていた。だからこそ和の思想が最も重要視された。聖徳太子が十七条憲法において第一条にそれを持って来て、最後の第十七条で総括として再び言及しているのは、これ無くしては日本という国は存在できないほど重要な概念だったからだ。天皇というのはいわばその盟主というわけだ、古代の日本においては。
万里小路 その、緩い連合体だった倭が中国風の一つの中央集権国家に変わるきっかけは改新の詔だな。その後、律令が整備されてますます中国風になっていく。
御子左 ただ、律令にしてもそのまま受け入れたわけではないな。芥川龍之介が書いたように、宗教でも何でも日本に入って来た時には大分変質してしまうからな。良くも悪くも日本風にしてしまうのがこの国の外来文化の受け入れ方だ。
万里小路 租庸調によく現れているように、従来の倭の制度に律令制を載せた形になっているな。だが、ある歴史学者が言っているように、隋唐時代の文化が現代に至る日本に決定的な影響を与えたことは否定できまい。
御子左 確かにそれはそうだ。現在の日本の領土が形成される過程で、中華帝国と対等な立場を目指すべく蝦夷他の諸国を服属させていくところなんかは中華かぶれ丸出しだな。
万里小路 もういい加減、そのような思想とは手を切るべきだ。これからの日本はそのような道とは別の道を行くべきだ。




万里小路 今度は、法的な側面から見ていこう。まずは皇室典範だ。
御子左 結局、何が最大にして致命的な問題なのかというと、第1条の規定「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」だな。これだけだといずれ皇統が断絶することは確実だ。それを防いでいたのが側室の存在だったんだが、言うまでもなく昭和天皇が廃止して現在に至る。これが決定打となって、皇室は消滅に向かって先細りの道を進み始めた。滅亡への爆弾の導火線には、既に火がついている。
万里小路 この第1条の存在が謂わば、皇統断絶に至る道という訳だな。

御子左 だから第1条を改正して、女子も継承できるようにしなければならない。
万里小路 たった4文字の削除でいいんだ。「男系の男」これを無くすだけで、死に至る病から解放される。
御子左 その他にも、第6条の「嫡男系」の語と第12条と15条の規定、それに附則2の「第6条の規定」以下の記述も削除もしくは改正しなければならないな。まあ、とにかく第1条を何とかしないと。
万里小路 これが実現できれば、日本が未だに儒教の影響下にある、男尊女卑の国という批判にも応えることができる・・・・
御子左 そういう意味では、隋唐以来約千五百年にもわたって我々を縛ってきた律令的悪しき伝統から解放される。
万里小路 列強に成り上がるために整備された、明治以来の呪縛からも解放される。
御子左 それから、これは将来的な課題になるが、皇室典範に譲位の規定を盛り込むべきだ。そうすれば、今後一々特例法を定める必要もなくなる。


御子左 次は憲法だな。第1条に、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて」と書いてあるが。
万里小路 それが、なんだ?
御子左 象徴とは、何だ?
 万里小路、国語辞典を開く。
万里小路 「形のない抽象的な思想・観念などを、具体的な事物や形象に託して表現すること。」だな。
御子左 わかりやすく言えば、日本人とは何かを知りたかったら、日本人のあるべき姿を知りたかったら、それは皇室を見れば良い、という事だ。
万里小路 うむ。
御子左 今の日本人が、男系男子で家を継いでいくなどという事をやっているか。
万里小路 なるほど、憲法上も問題があるという事か。
御子左 それから、現在皇位継承の条件を規定しているのは何だ?
万里小路 皇室典範だろう。
御子左 俺が聞いているのは、大元の話だ。
万里小路 ・・・・確か、憲法の第2条だったか。
御子左 そうだ。国会の議決した皇室典範に拠るんだったな。この条文はマッカーサー草案をそのまま踏襲している。因みに、明治13年の憲法草案では女系継承も規定されていたが、その後制定された大日本帝国憲法ではそれは削除されてしまった。
万里小路 時代背景を考えると仕方ないともいえるが、残念な事だったな。ともかく、その第2条が何だ?
御子左 おかしいとは思わないか?皇室と言えども一家族にすぎない。そんなことはその家族で決めるべき、決める権限があるべきだと思う。それなのに、なぜそんなことを他人たる国会で決めなければならないのか?
万里小路 確かに・・・・。でも、完全な私人にはなれない以上、仕方ないんじゃないか?
御子左 それにしたって、皇室内の思想なり見解なりを全く反映しないのはおかしいだろう。今の国会議員が、どれだけ皇室に関して正しい知識を持っていると思う?俺だったら、危なくて任せられない。「力を持った愚者」が人間社会においてどれだけ有害な存在か、知らないわけじゃないだろう。
万里小路 なるほど、憲法上も深刻な問題を抱えているわけだ。
御子左 さて、それだけじゃない。第2条には「皇位は、世襲のものであつて」と規定されているが。
万里小路 それが・・・・?
御子左 これが何を意味するか。
万里小路 何だ?
御子左 世襲でしか皇位は継承できないということだ。
万里小路 それ、同じことじゃないか。
御子左 どうした、今日は珍しく鈍いな。いいか、世襲しかないということは、少なくとも数代先までを見通した安定した皇位継承策を考えておかなければ、皇統なんか簡単に断絶するということだ。断絶が確定してから、公募や選挙で天皇を選ぶなんてできないだろ?
万里小路 ああ、そういう事か。
御子左 国会では何の議論も行われず、国民もその事に対して何の疑問も持たない。こんな状態で、世襲で継承なんてしてみろ。と言うか今がその状態だが、もう皇統断絶まで一直線だ。
万里小路 おお、そいつはまずい。


御子左 ところで、民主主義はぞれ自体で存在していると思うか?
万里小路 うーん・・・・?
御子左 民主主義の無意識の前提として、「神の前の平等」という思想がある。つまり、神の存在あっての民主主義という事だ。もっと趣旨を明確にするなら、神の教えに反する規定はいかに民主的手続きを踏んだ決定であろうと認められないという事だ。例えば、殺人を罪に問わないという法を議会で通そうとしても、それはできないという事だ。民主主義の建前のもとに無茶な法を作ろうとしてもできないという事だな。もちろん、民主主義を制限する思想としては他に基本的人権もあるがな。基本的人権を侵す法律を作ることはできない。
万里小路 でも、それは欧米のキリスト教国での話じゃないか。日本はどうなんだ?
御子左 まさにそこが日本の民主主義の問題点だ。神なき民主主義というものは、傍から見てどうしようもなく救いようのない馬鹿な決定でも、民主的手続きを経たものであれば通ってしまう。特定の人間に権力を集中させる法律を作って両院を通過すれば、もう独裁政権の誕生まで秒読み段階だ。今の日本に最も近いのが、ワイマール共和国だろう。
万里小路 それは危険だ。危険すぎる。
御子左 そして、ある意味一番大事なところ、皇室がなくなればこの国の民主主義の制度それ自体が崩壊してしまうという事だ。
万里小路 どういう事だ?
御子左 国事行為は天皇の承認を必要とする。天皇がいなくなれば、国会を開いて法律を制定することも、犯罪者を裁くこともできなくなる。そして日本は、以前の帝国主義の時代、力による支配の時代に逆戻りだ。いや、天皇という歯止めを失った分、状況はより悪化している。ヒットラーが自殺した後のベルリンのような世界になるかもしれない。
万里小路 なんてこった。
御子左 実は、日本の民主主義制度の存在は、皇室によって担保されているのさ 。
万里小路 まずいじゃないか。何でこんな状態を放置してるんだ?
御子左 世間の人が求めているのは、安全じゃなくて安心だからな。
万里小路 たとえ自分が崖っぷちに立っていても、そのことを忘れさせてくれる何か、パンと見世物のようなものを与えてくれれば満足する、と。何だか虚しいな。
御子左 人はいずれ死ぬからと言って何をしてもいいのか?あるいは、何もせず人生を終えてもいいというのか?違うだろう。
万里小路 この矛盾だらけの世の中で、それでも何かの主張をして生きていく、それが人生であり、その積み重ねが歴史になっていく。そういうものだとは思う。
御子左 でも、何らかの心の支えがなければ、そんな毎日にはいつかは耐え切れずに潰れてしまう。その支えになるものが宗教とか信仰になると思うが、皇室はまさにそのようなものじゃないだろうか。
万里小路 皇室を機能面から分析すれば、大きな一つの柱になりそうだな、それは。
御子左 日本人が、そのような心の拠り所を失った時、何が起こるか・・・・


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