「兵士は楽でしょうけど、司令官は苦労ですね」
(中略)
「ところが、世の中の半分以上は、兵士を多く死なせる司令官ほど苦労をしていると考えるのさ」(第2巻・106頁)
自由惑星同盟で起こった叛乱の鎮圧法についての、ヤンとユリアンの会話の最後の部分。何事であれ、大きな業績を成し遂げた人はそれなりの苦労をしているものだが、世の人々は往々にしてそのことに気づかない。自分の価値観や想像に基いて、勝手な解釈をするというのが普通であるように思われる。
宗教そのものを否定しようとは思わないが、宗教組織が権力を欲するのは絶対に否定されねばならない。それは人間の外面のみならず内面をも支配する、最悪の全体主義となるだろう。価値観の多様さとか、好みの個人差とかは排され、唯一絶対の存在を受け入れることだけが、人間に許される知的活動になるだろう。(第6巻・142頁)
地球へ向かう「親不孝」号の中、ボリス・コーネフやマシュンゴ、ポプランとの会話で、ユリアンの宗教についての見解。残念ながら日本にもこのような組織が・・・
「指導者に対する悪口を、公然と言えないような社会は開かれた社会とは言えない」(第9巻・159頁)
イゼルローン共和政府軍司令官となったユリアン。自分に対する不満や意見を投書させるようにしていたが、何ら建設的でない単なる悪口も当然の如く含まれていた。だからといって投書をやめさせることはなかった。そのときの彼の言葉、というか考え方。
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