「お前さんたちは大樹の苗木を見て、それが高くないと笑う愚を犯しているかもしれんのだぞ」(第1巻・182〜183頁)

 第13艦隊が編成されて間もない頃、それを笑い話の種にしている提督たちに向けた台詞。「後生畏るべし」の変形版といっていいだろう。
 凡人はよく、人間は成長するものだということを忘れる。現在の状況だけを問題にして、ああだこうだと好き勝手な意見を言うわけだが、まるで空間の感覚だけが存在して、時間の感覚が欠落したような印象を持たされる。

「人類が地上を這いまわっていたころから、今日に至るまで、暴力でルールを破るような者を紳士とは呼ばんのだよ。そう呼んでほしければ、せっかく手に入れた権力だ、失わないうちに新しい辞書でも作らせることだな」(第2巻・115頁)

 救国軍事会議に捕えられたビュコックは、彼らを厳しく糾弾する。救国軍事会議のメンバーは、今まで紳士的に対応してきたが、あまり自分たちをおとしめるような事を言うのであれば対応を変える、と言ったときにこの台詞が出る。痛烈で、反論の余地のない台詞。

「民主主義とは対等の友人をつくる思想であって、主従をつくる思想ではないからだ」(第7巻・229頁)

 マル・アデッタ星域の会戦で降伏勧告を受けた際の言葉。民主主義と専制との違いを表わしたことばの一つ。

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