ギッフェン財とは、価格が低くなるとかえって需要が減る財のことである(註1)。ここではその定義を拡張して、価格が高くなるとかえって需要が増える財をギッフェン財その2と定義する(むしろこちらの定義のほうが本来の意味に近い)。
そのメカニズムは推測だが、次のようなものであろう。
英国において馬鈴薯の価格が上がった。それをみて買い手は市場に出回る馬鈴薯の量が少ないと判断した。馬鈴薯は生活必需品、しかも毎日必ず消費しなければならない食料である。なくならないうちに買っておかなければならない。そのため需要が増えた。ギッフェンはその現象だけをみて、「馬鈴薯は価格が上昇すると需要が増える」と報告した(註2)。
一般的なギッフェン財その2の条件は次のようになるであろう。
(1)買い手が必ず買わなければならない財(必需品necessary good)である。
(2)時間の経過とともに価格がいっそう上がるかまたは市場からなくなると予想される財である。
この条件の(1)に準ずるものとしては次の通り。
(1´)後に売って利鞘を稼ぐことが出来る。
またギッフェン財の条件は次のようなものである。
(1)買い手が今すぐに買わなくてもよい財である。
(2)時間の経過とともに価格がいっそう下がる。
ある国の食料自給率が低く、かつ輸入が出来なくなれば、その食料はギッフェン財その2となることであろう。
註
(1)『経済学大辞典T』173頁。
(2)池田一新『混合体制の経済学』41頁参照。
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